越境ECビジネスは、国内市場を超えて広がる大きな成長機会を持つ一方で、州ごとの会計税務規制、関税・国際会計税務、キャッシュフロー管理などの課題も多くあります。
本記事では、米国でEC事業を行う日系企業が知っておくべき会計税務のポイントをまとめます。
2018年の「Wayfair判決」により、米国ではSales Taxの課税対象が拡大し、多州に拠点を持たないEC事業者でもSales Taxの納税義務が発生する場合があります。各州ごとに異なる税率と納税基準があり、適切な管理をしなければ税務調査のリスクが高まります。
日本や他国から商品を輸入する場合、Tariff(米国の関税)や Import Duties(輸入消費税)を正しく計算する必要があります。HSコード(輸出入統計品目番号)によって関税率が異なり、申告ミスがあると追加課税や罰則が発生する可能性があります。
日本の本社から米国法人に商品を供給する場合、Transfer Pricing(移転価格)の問題が発生する可能性があります。適正な価格設定をしないと、会計税務当局からの調査や利益移転の指摘を受けるリスクがあるため、日米の会計税務コンプライアンスを満たしつつ、法人税の最適化を図ることが重要です。
Amazon, eBay, Shopifyなど、各プラットフォームによって売上処理の仕組みが異なります。プラットフォームごとに適切な経費計上ができていないと、正確な利益管理が難しくなります。また、為替変動による収益の変動を正しく管理しないと、キャッシュフローに影響を与える可能性があります。
AvalaraやTaxJarなどのSales Tax自動計算ソフトを導入し、多州の税率をリアルタイムで管理することが重要です。Amazon FBA利用者は、どの州に登録が必要かを事前に把握し、不要な税負担を回避しましょう。また、各州ごとのSales Tax免除制度を活用し、納税額を最適化することが可能です。
関税分類の最適化を行うために、HSコードを正しく分類し、適正な関税率を適用しましょう。Duty Drawback(関税払い戻し制度)を活用すれば、特定の条件下で支払った関税を取り戻すことができます。また、Use Tax(輸入時の消費税)の計算と管理を行い、州ごとの納税義務を適切に処理することが必要です。
適正な移転価格を設定し、日米間での利益の適正配分を確保することが重要です。また、Foreign Tax Credit(外国税額控除)を活用し、二重課税を回避する方法も有効です。日本法人・米国法人間の取引を適正化し、会計税務調査リスクを低減するための対策を講じましょう。
QuickBooksやXeroなどのクラウド会計ソフトとECプラットフォームを連携し、売上・経費の自動仕訳を実現します。また、為替変動リスクを最小限に抑えるために、多通貨管理とヘッジ戦略を導入することも考慮しましょう。EC事業者向けの経費計上ルールを明確化し、正確な財務管理を行うことが重要です。
あるEC企業では、米国内の複数州で販売を行っているため、Sales Tax(売上税)の計算が複雑化し、申告ミスのリスクが高まっていました。この課題を解決するためにTaxJarを導入し、売上発生時に自動で正確な税率を適用できる仕組みを構築しました。その結果、税務調査のリスクを効果的に回避し、Sales Taxの納税プロセス全体の効率化にも成功しました。
ある貿易会社では、輸入時の関税が当初想定よりも高額になり、利益率が低下するという課題を抱えていました。この問題を改善するためにHSコードを見直し、より関税率の低いカテゴリへの適用変更を行いました。その結果、年間の関税コストを20%削減し、収益性を大幅に向上させることができました。
ある企業は日本法人から米国法人への販売価格が適正に設定されておらず、税務当局から指摘を受ける可能性がありました。この課題に対して、明確な移転価格ポリシーを導入し、客観的かつ適正な価格設定を実施しました。その結果、税務リスクを最小限に抑え、日米間で安定した取引環境を構築することができました。
おかげさまで尾崎会計事務所は、20年以上にわたり、日米でのECビジネスに従事される皆さまの会計税務はもちろん、会社設立から経営コンサルティングまで幅広くサポートさせていただいております。
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