タックス・リターンとは、日本で言うところの確定申告に該当します。言葉の意味自体は、「タックス･リターン(TaxReturn)」なら、本来「税金の払い戻し」ですが、実際のところは、「確定申告（もしくは税務申告）」という意味です。

税金を納めすぎた場合には、「還付金（Refund)」として政府から払い戻してもらったり、逆に「支払い不足分（TaxDue)」がある場合には、追加で税金を支払う義務が生じます。

アメリカで収入のある方は、必ず申告をしなければなりません。よってアメリカ市民・永住権保持者に限らず、就労ビザをお持ちの方、就労ビザの配偶者の方も、留学生やOPTの方も、アメリカで収入がある限りは対象となってきます。

（※18歳未満の場合は扶養者になるので、保護者と一緒に申告をすることになります。）

なおFビザ・Jビザの方は、特別税金免除の規定（非居住者）があるため、通常のタックス・リターンとは手続きが異なる場合もあるので、注意が必要です。

上記の通り、仮に短期間や少額であっても、雇用形態がアルバイト（パート）であっても、収入がある限りでは、申告をしておきましょう。授業料も控除対象となる場合がありますし、少額であってもリファンドもあるため、申告した方が得策といえます。

Ｆ－１ビザとはいわゆる学生ビザで、学業を行うためのビザなのですが、定められた限度内でなら就業も可能です。主な就業パターンとして、収入がないととても貧困であると認められたケース、学校キャンパス内のバイト、OPTトレーニング、認可されたインターナショナル雇用主などがあります。

なお収入がある場合は、学生でも例外なくアメリカの確定申告をする必要があります。

学内でバイトをする場合は、20時間以内である必要があります。（学校が休業の場合はフルタイムに変更可能です)

フルタイムの学生であるという、Ｆビザのステイタスを維持することも条件となります。

なお職種は、自分の専門分野以外でも構いません。

必要に迫られての就業には、CISという認可が必要になり、毎年更新します。自分の専門外でもよいのですが、EADを申請する必要はあります。 なおOPTは学校を卒業するときの必要カリキュラムとして、学校に認められています。

Ｊ－１ビザの場合は　Ｗ２フォームの代わりに1042-Sという、すでに免税であるという収入証明をもらう場合が多く、もしもお給料からアメリカ所得税が源泉徴収されて、Ｗ－２というフォームをもらう場合は確定申告をして、税金の還付金を申請します。

また、非居住者納税者の間は、ソーシャルセキュリティタックスを支払う必要はありません。

タックス・リターンの申請は、たとえ日本へ帰国してしまったとしても、義務付けられています。日本からでもタックス・リターンの申告は可能ですので、きちんと手続きしておきましょう。

世界中どこにいたとしても、確定申告の義務はあります。郵送による申請も可能ですが、Eファイリングなら、インターネットで行えるので、世界中どこからでも申請が可能です。

会計士（CPA）に依頼される場合でも、通常はどの会計事務所でも、海外からの申告にも受付・対応してくれます。

毎年、タックス・リターンの締切り日は、「4月15日」となります。（※なお15日が日曜・祝日の場合は、翌週の月曜日に繰り越しになります。）

確定申告の締切り日である、4月15日に遅れたり、追加で税金を支払う必要があったにも関わらず何もしていない場合には、ペナルティが課せられることになります。

締切りの後に、ペナルティが課せられる主旨の通告届けが、IRSより郵送されてきます。遅滞期間に応じた利子も算出されて、余分に税金を払うはめになります。

万が一締切りに遅れてしまった場合、できるだけ早い段階で、CPAや会計事務所に相談されることを強くお勧めします。また事前に申告が遅れるとわかっている場合も同様です。

「延長申請」は可能ですが、税金の支払い義務のある人は、その延長の間、利子を課せられることになります。なお元々税金の支払い義務がない場合は、ペナルティも利子も課せられません。

還付金の返金には、通常なら6週間を目安にしてください。

返金の受け取り方法としては、タックス・リターンの申請フォームに記入した宛先へ、小切手を郵送してもらう、もしくはフォームに記入した指定の銀行口座へ直接振込をしてもらう事もできます。

通常は、IRS（税務署）へ問い合わせをすることになります。

（1-800-829-1040またはwww.IRS.gov）

間違いや申告漏れやなどは、ケースによっては「過去3年間」に遡り、再申告が可能です。

勤務先から受け取る「Ｗ-2フォーム」と「SSN（ソーシャル・セキュリティ・ナンバー）」は、必須です。個々の状況により、タックス・シーズンになると、自宅（郵便お届け先）へ銀行・不動産・投資・ローンなどのタックス・リターン関連書類が郵送されて来ますので、申請書類として、きちんと保管しておき、確定申告の際には活用しましょう。会計士（CPA）に依頼される場合、これらはすべて提出しておきましょう。

雇用主様へ伝えて、コピーを貰ってください。コピーで問題ありません。もしもW-2を発行してから3ヶ月以上経っていれば、IRSも情報を持っているので、取り寄せることもできますが、州税の源泉徴収の情報などは、IRSは持っていないので、やはり雇用主様（発行主）に依頼するのが無難ではあります。

すぐに勤務先に伝えて、再発行してもらいましょう。W-2はタックス・リターンのための重要書類です。紛失など、くれぐれも注意しましょう。

SSN（ソーシャルセキュリティ番号）のない方、例えば、就労ビザ保持者の配偶者や扶養者（子供）は、「納税者番号（TaxID）」を取得する必要があります。タックス・リターン締切り日までにTaxIDの取得が間に合わない場合は、IRSへタックス・リターン申請を行なう際に、「TaxID」の同時申請も可能です。会計士（CPA）に依頼される際には、これらの情報も提出してください。

現金払いレシート・領収書関連や、クレジットカードの明細、銀行明細のほか、レント・光熱費など、様々な請求書や毎日の支出に関わる証拠書類などは、過去の分も含めて、きちんと保管しておきましょう。

毎日の生活の中で、まずあらゆる費用の見直しをしましょう。タックス・リターンに有効かどうか定かでない勘定項目（出費）であっても、毎年の状況により、税金控除の対象になる場合がありますので、普段から出納帳や家計簿などで記録されること、また様々な領収書も整理されておくことをお勧めします。

節税できる大きく2種類で、課税対象となる収入額を減らすTaxDeductionと、支払う税金そのものを減額するTaxCreditがあります。

TaxDeductionは総収入から経費などを引くことで、実質的な収入額を減らし、収入額により計算される所得税額を減額する試みです。対してTaxCreditは、課された税金そのものを減額できるので、TaxDeductionと併用が可能です。

ほとんどの会社員の方は、誰でも一律に認められる控除のStandard Deductionを適用されるのが一般的です。（2015年の例では、6300ドル、夫婦合算の場合は1万2600ドル） ただし持ち家をお持ちの方や、例えばNY州にお住まいの方は、収税が高いのでItemized Deduction（項目ごとに計算する控除）を適用される方が、節税の観点から有利に働くかもしれません。病院に行った交通費、チャリティー活動費などの諸経費も、くまなく把握しておきましょう。

沢山のTaxCreditの種類がございますので、皆様驚かれる方もいらっしゃいます。一例としてAlternativeMotorVehicleCredit（燃料電池自動車の購入で一定額の控除）、ForeignTaxCredit（米国外で収入がある場合その所得税を控除）、LifetimeLearningCredit（高等教育の学費を最大2000ドルまで控除）などがございます。

「転職した」、「結婚した」、「子供ができた」なども確定申告に影響を及ぼす場合がありますので、一年の生活や状況を振り返り、いろいろ見直してみましょう。

あまり知られていませんが、冷房や暖房の新規購入や設備改善には、「エネルギー効率化クレジット」と呼ばれるものがあり、控除対象となる場合があります。

初めて家を購入された方（ファーストバイヤー）には、特別控除があります。また景気の悪さから、個人破産や抵当流れなどの方が例年以上に増加した年などは、そうした方のための特別規定もできたりします。

お子様がいらっしゃる場合はChildTaxCreditというTaxCreditがございます。（例として2015年12月31日で、ChildTaxCreditは17歳未満の子供１人につき最大1,000ドルの控除が可能）

子供のデイケア代も控除対象になります。ですからデイケアの方のタックス番号を貰っておきましょう。

低所得者の方にはクレジットがあります。またアメリカの軍部にお勤めの方にも、クレジットがある場合もございます。

会社員の方で、出張費などを会社が立替えていない場合には、「控除規定」があります。出張日数によっては、IRSの規定する計算方法により、食事やホテル代も、「免除」となる場合もあります。なお車の使用マイレージや、出張の多い方は、「何日間地元を離れたか？」なども把握しておきましょう。

レストラン経営で、従業員のチップからメディケアやソーシャル・セキュリティを支払った場合には、クレジットをもらえます。

日本居住のグリーンカード保持者は、日本での収入については、一定金額まで免税対象となります。

日本で支払った税金が、アメリカの確定申告でも控除対象になる場合があります。また日米間におけるソーシャルセキュリティ（年金）の二重支払いを避けるための、日米租税条約も理解しておきましょう。

プライベート用途の買い物であれば適用外ですが、自営業やスモールビジネスが経費として購入される場合は、控除対象となります。また購入時のセールスタックスも州によっては（例：テキサス州、フロリダ州）、たとえプライベート用途であっても控除対象となります。

またハイブリッドカーの購入であれば、クレジットをもらえる場合があります。

例えば面接に行くときのスーツ代や書類一式、交通費や滞在費なども、すべてキャリア関連費用として控除可能になります。転職活動の関連費用もくまなく把握しておきましょう。

アメリカではギフトとして仕事上の理由のみ、相手1人（1件）あたり25ドルまで仕事関連費用として控除できます。お中元などを贈った場合はその数と金額を把握しておきましょう。

米国外に金融口座残高が1万ドル以上ある場合には、IRSに報告する義務がございます。報告を怠ると最大10万ドル、または残高の50％の罰金を科せられる可能性があります。報告対象は米国外の銀行口座預金、株、証券、年金などで、合計１万ドル以上ある場合に対象となります。

FBARについて 

「簡易査定」のことで、会計士（CPA）や会計事務所に書類を見てもらい、どの程度の払い戻しが見込めるか、事前に算出を行ってもらいます。費用は、各会計士（CPA）や会計事務所により無料・有料とまちまちです。依頼する前に査定をしてもらえる場合と、依頼することで査定をしてもらう場合と、各会計士（CPA）や会計事務所によりシステムが異なるため、まずは問い合わせてみましょう。

できるだけ多くの情報をお持ちになって相談されることをお勧めします。自分では判断できない部分も会計士で判断できますので、とにかく収入や費用の情報をできる限りお持ちになって相談下さい。

税金・確定申告は、全米のどの州の会計士（CPA）にも依頼・相談することができます。ですから、できるだけ自分に合った、融通の利く会計士（CPA）を探されることをお勧めします。（※なお法人監査では、各州のライセンスを持つ会計士（CPA）に依頼する必要があります。）

健康保険（AffordableCareAct,Obamacare）は昨年から加入の義務が開始されました。昨年の保険未加入者の罰金は325ドルまたは収入の2％（いずれか金額の高い方）になります。

一部未加入期間がある場合は、期間に応じた罰金額を支払う必要がございます。

自分の保険の種類、加入期間をしっかり把握しておきましょう。日本の健康保険に加入している方は、考慮される可能性がございますので会計士へ相談しましょう。

UPDATE:

政権交代により、こういった取り決めも頻繁に変更されるので、注意が必要です。